べーパー洗浄/乾燥のしくみとメリット・デメリット

べーパー洗浄は、溶媒を加熱して発生させた蒸気で洗浄する方法です。高純度な溶媒で前工程の洗浄液を洗い流し、乾燥後のシミの発生を抑制します。

ペーパー乾燥は洗浄後、被洗浄物を蒸気にさらし温度を上昇させ乾燥させます。仕上げ洗浄と同時に乾燥を行えるのが大きな特徴です。

細かな洗浄物を隙間までキレイにでき、除菌や殺菌効果も期待できるオールマイティーな洗浄/乾燥の方法ですが、高温に弱い製品には使用できないなどの制約もあります。

ここでは洗浄の基礎としてべーパー洗浄/乾燥(スチーム乾燥、蒸気乾燥)のしくみやメリットデメリットについて解説していきます。

目次

 

べーパー洗浄/乾燥とは、その効果は?

ベーパー洗浄/乾燥とは、熱を加えて非引火性の洗浄液を気化させ、それを洗浄対象物に供給することで洗浄を行う方法です。

洗浄/乾燥 後のシミ抑制

蒸気が凝縮し溶媒となり、前工程で使用された溶媒の残留物を効果的に洗い流すことが可能です。その結果、洗浄/乾燥後のシミ形成を抑制するなどの優れた効果が期待されます。

乾燥と同時に仕上げ洗浄が可能

ベーパー乾燥は、乾燥と同時に仕上げ洗浄が可能です。

洗浄液の沸点よりも低い温度の洗浄液ですすいだ洗浄物を気化した洗浄液ベーパー中に投入します。すると、洗浄物表面温度と気化した洗浄液ベーパーの温度差により、洗浄物表面に洗浄液が冷却・液化し、洗浄物表面に洗浄液が流れ落ちます。これにより洗浄物表面に残っていたわずかな汚れを洗浄することができます。これにより仕上げ洗浄が可能です。

次に、洗浄物をベーパー中に置くことで洗浄物の表面温度がベーパーと同じ温度になり、洗浄物表面に洗浄液およびベーパーが付着しない状態になり乾燥した状態で洗浄物を取り出すことができます。

炭化水素系洗浄液の最終仕上げに使える

べーパー洗浄/乾燥は、引火性のある炭化水素系洗浄液の場合も最終仕上げ工程には非常に有用です。しかしながら、引火性があるために、洗浄機側で大気に触れないしっかりとした対策が必須となります。

具体的には最終仕上洗浄槽を大気に触れない真空チャンバー内で加熱した炭化水素べーパーを使用・真空化でべーパーを回収、乾燥を行います。炭化水素専用の洗浄液を使用する必要があります。

べーパー洗浄/乾燥の模式図

べーパー洗浄 仕組み

べーパー洗浄/乾燥のメリット

ベーパー洗浄/乾燥には以下のメリットがあります。

製品を素早く乾燥させられる

まず、迅速な乾燥が可能です。ベーパー洗浄は高い乾燥効率を持ち、素早く製品や素材を乾燥させることができます。その結果、生産効率が向上し、時間を節約できます。

環境にやさしい

また、環境にやさしい方法としても注目されています。有害な溶剤や化学薬品を使用せずに行われるため、環境への負荷が少なくなります。

洗浄対象物へのダメージが少ない

さらに、ベーパー洗浄は傷やダメージを軽減する特徴も持っています。物理的な摩擦を最小限に抑えるため、洗浄対象物に与える損傷が少なくなります。

除菌・殺菌効果がある

そして、衛生的な乾燥も可能です。ベーパー洗浄は高温の蒸気を使用するため、除菌や殺菌効果があり、衛生的な乾燥ができます。

べーパー洗浄/乾燥のデメリット

一方、ベーパー洗浄にはいくつかのデメリットも存在します。

高温に弱い製品に適さない

まず、素材や製品ごとに蒸気や温度による制約があります。一部の素材や製品は高温の蒸気に弱いため、ベーパー洗浄が適さない場合があります。

処理時間が比較的長い場合も

また、ベーパー洗浄と真空乾燥を一つの槽で実施するため、ある程度の時間が必要です。両方の工程を順番に行う必要があるため、処理時間が長くなる場合があります。

コストが高くなる場合がある

さらに、ベーパーを発生させるためのベーパー洗浄槽の価格が高いというデメリットもあります。ベーパー洗浄槽は高度な技術と装置を必要とするため、そのコストが他の洗浄方法に比べて高くなることがあります。

べーパー洗浄/乾燥の注意点|引火には最新の注意を

炭化水素洗浄剤などの引火性のある洗浄剤に対してベーパー洗浄/乾燥を用いる場合は、ベーパー洗浄機やスチームクリーナーの使用中に洗浄剤が加熱されると、引火や火災の危険性があることに注意が必要です。洗浄剤の取り扱いには細心の注意を払う必要があり、真空状態でベーパー洗浄を行う等、万全の機能を有する機械での洗浄が望ましいです。

洗浄の課題解決ならJFEエレクトロニクスへ

べーパー洗浄は、仕上げ洗浄と同時に乾燥を行える洗浄方法です。比較的細かな洗浄物を隙間までキレイにでき、除菌や殺菌効果も期待できます。適応範囲の広い、洗浄/乾燥の方法ですが、高温に弱い製品には使用できないなど、注意が必要な点もあります。

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