アニリン点とは洗浄力の効果を表す指標・注意点やKB値との違いは

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洗浄力を評価する「アニリン点」と「KB値」は、洗浄プロセスにおいて重要な指標です。この記事では、これらの指標がどのように洗浄力に影響を与えるかを解説します。洗浄に携わる技術者にとって役立つ基礎知識と注意すべきポイントを解説します。

目次

 

アニリン点とは

アニリン点は、脱脂洗浄力を示す指標であり、油脂の溶解性を示す数値です。アニリン点が低いほど、油脂がより良く溶けることを意味します。

おもに、炭化水素系有機溶剤の油脂溶解性を見る指標として使用するケースが多くみられます。

検査の対象の物質とと等しい容積のアニリンを混合して冷却したとき、物質とアニリンが分離する温度のことです。

アニリン点の測定方法は?

アニリン点の測定方法は、通常炭化水素系の有機溶剤を使用し、アニリンと試料を混ぜて冷却し、分離する際の温度を測定します。

炭化水素系有機溶剤のアニリン点の例を挙げると、ノルマルヘキサンが59℃、シクロヘキサンが30.2℃、ノルマルへプタンが69.3℃、ベンゼンが-30℃、トルエンが-30℃、ホワイトガソリンが55℃、灯油が78℃となります。

数値が小さいほど、油脂溶解力が高いことを示します。アニリン点が低いほど、油脂がより良く溶ける理由は、一般的に液体温度が高いほど、物質が溶け込みやすい性質を持つためです。

これは、溶解度の曲線を通じて説明されます。

アニリン点の欠点とは|絶対的数値化に適さないわけ

アニリン点の欠点は、測定時にアニリンと試料が分離しないと測定できないことです。そのため、アニリン点は炭化水素系有機溶剤にしか適用できず、他の有機溶剤や洗浄剤の脱脂力を測る際には使用できないとされています。

また、アニリン点の試験では、アニリンがよく溶ける物質を使用することで、アニリン点が低くなる傾向があることも指摘されています。

そのため、アニリン点は参考程度の指標であり、絶対的な数値化には適していません。

アニリン点の測定方法 イラスト図

脱脂洗浄力を表す「KB値」とは

KB値は、「カウリブタノール(Kauri butanol)」の頭文字を取ったものです。カウリブタノールはカウリ樹脂とブタノールが混ざった試薬で、カウリ樹脂は貴重な天然樹脂です。KB値は、脱脂洗浄力(油脂の飽和度)を数値化した指標となります。

KB値の測定方法

KB値は、カウリブタノール溶液を用いて測定します。数値が大きいほど、洗浄力が高まり、脱脂洗浄力の尺度とされます。通常、塩素系や臭素系の溶剤のKB値は炭化水素系のものより高くなります。

KB値の測定は、カウリブタノール溶液を滴下し、白濁するまで行います。この白濁した点をKB値とし、数値が大きいほど脱脂洗浄力が高いことを意味します。

KB値の欠点とは|専用溶液が入手しにくい

ただし、特定の溶剤で測定するとKB値が非常に高くなるという課題があります。カウリブタノール溶液が手に入りにくいため、測定が難しいこともあります。

KB値の測定方法 イラスト図

 

アニリン点とKB値との違いは?

アニリン点とKB値はどちらも脱脂洗浄力を測る指標ですが、アニリン点は油脂の溶解性を示し、KB値は油脂の飽和度を示します。両者とも参考になる指標であり、絶対的な数値ではないため、注意が必要です。

アニリン点の単位は?

アニリン点の単位はアニリン点は温度のことを指すので、単位は「℃」となります。

アニリン点の使用は限定的|使用は慎重に

以上に紹介したようにKB値とアニリン点は洗浄剤の洗浄力を示す指標として有効である一方で、使用は限定的で、判断には注意が必要です。

こういったお困りごとに対して、JFE商事エレクトロニクスでは、お客様の現場の洗浄工程に造詣のある専門スタッフがご要望に合わせてご提案させていただきます。

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